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日本における巻き爪治療の現状と課題
私は10年前に、大学病院の診療の傍ら埼玉県深谷市の佐々木病院に、「巻き爪外来」という巻き爪の専門外来を開設しました。そこで学んだ事は、埼玉県北部のたった10数万の人口の深谷市にも、巻き爪でお悩みの多くの患者さんがいらしたということです。
爪が巻いているだけの巻き爪は、厳密にいえば医学的に疾病とは扱われずに、きちんと診察治療をしてくれる医療機関が少ないのが現状です。室内でも靴を履く習慣のある欧米では足のトラブルを抱える患者さんも多く、古くから足病医という足専門の医師が存在し、巻き爪の矯正治療なども行ってきました。
一方、本邦では診療科ひとつをとっても、皮膚科、形成外科、整形外科と様々な診療科で各医師がそれぞれ試行錯誤しながら対応しているのが現状です。さらに、保険診療上巻き爪は疾病として扱われていないので、治療内容によっては健康保険による治療ができずに、自費治療となり患者さんの負担がかかってしまうという問題点も存在します。
しかし、巻き爪治療は早い段階で、適切な治療を行うことで重症化を予防することが可能です。最近は市販の矯正器具もさまざま販売されておりご自宅でセルフケアできる環境も整ってきています。またひどくなった場合も、健康保険が適応となる比較的簡単な手術で痛みを改善させることも可能です。
先の述べた深谷市の現状からもわかるように、日本全国には巻き爪でお悩みの多くの患者さんがまだまだ埋もれていると考えています。巻き爪の正しい知識を伝えて、少しでも多くの患者さんの悩みを解決していければと思います。
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