手や足の指先に生えている爪は、私たちの身体を保護してくれる大切なパーツです。爪を正しくケアしていないと、巻き爪や陥入爪など、さまざまな爪のトラブルにつながりかねません。
そこで今回は、爪の構造や役割、起こりやすいトラブルについてご紹介します。爪の構造について詳しく知りたい方は、ぜひ参考にしてみてください。
この記事の監修をお願いしている簗医師の、解説記事へのリンクを文中に掲載しています。より詳しく知りたい方は、簗医師の解説記事もご覧ください。不明な点は掲示板(https://medical-media.jp/bbs/)からご相談ください。
一般的に「陥入爪」と「巻き爪」という言葉は混同して使われている場合がありますが「陥入爪」と「巻き爪」は別の状態を表します。
この記事ではわかりやすいように一部「巻き爪」を含めて「陥入爪」という言葉で表現している場合があります。違いについての詳細は解説記事を参照してください。
- 陥入爪=爪甲が側爪郭に陥入し炎症を引き起こした状態
- 巻き爪=爪甲が彎曲した状態
簗医師の解説記事:https://medical-media.jp/basic/#s5
爪の構造はどのようになっている?
爪は、さまざまな部分から成り立っています。爪を構成する主な部分の名称は、以下の通りです。
名称 |
特徴 |
爪母(ネイルマトリクス) |
爪甲を形成する部分で、血管と神経が通っている。爪甲は一生作り続けられ、伸び続ける。 |
爪甲(ネイルプレート) |
爪床に乗っている爪の部分。ほぼ透明で爪床の毛細血管中の血液が透けて見えるので、健康な爪甲は薄いピンク色をしている。 |
爪床(ネイルベッド) |
皮下組織の一部で爪甲がその上にある。爪床には神経と血管が通っている。 |
爪下皮(ハイポニキウム) |
爪甲と爪床の間にあり、両者をつなぐ細胞。爪を長期間伸ばしていると、爪先の裏側に出てくることもある。 |
爪半月(ルヌーラ) |
爪甲の根元にある三日月状に白く見える部分。できて間もない爪なのでやわらかく、刺激に弱い。 |
爪上皮(エポニキウムorキューティクル) |
いわゆる甘皮と呼ばれている部分。爪母で作られたばかりの爪甲を保護する役割がある。 |
側爪郭(サイドウォール) |
爪甲の左右に接している皮膚に覆われている部分。 |
爪先(フリーエッジ) |
爪甲が伸びて爪床から離れた部分(爪甲遊離縁)。水分含有量が減少するため不透明に見える。 |
実は、爪は皮膚の一部です。髪の毛や皮膚と同じように、爪はタンパク質のひとつであるケラチンでできています。私たちが一般的に「爪」と読んでいる部分は、「爪甲」と呼ばれます。爪甲は皮膚に埋もれている爪母で生まれ、爪床の上をスライドするように前方に押し出されるのです。このようにして、爪は常に伸びています。
爪の持つ重要な役割
爪は、私たちの健康をサポートするために重要なパーツです。ここからは、爪の持つ重要な役割についてご紹介します。
指先を保護する
爪には、指先を保護して細菌などの侵入を防ぐ役割があります。日常生活で指先をよく使うほど、ケガやウイルス感染のリスクは高くなりますが、爪がケガや細菌から指先を守ってくれています。
指先の力加減をコントロールする
爪には、指先の力加減をコントロールする役割もあります。たとえば手の爪があることで、箸などを持って細かい作業をするときに力の入れ方を調整できているのです。また、足の爪は体重を支え、歩くときに踏み込む力を強くする役割があります。
爪に起こりやすいトラブルの原因・対策
爪のケアを怠っていたり、細菌が侵入したりすると、さまざまな爪トラブルが発生する可能性があります。ここからは、爪に起こりやすいトラブルの原因と対策についてご紹介します。
爪が割れる・欠ける
爪が縦に割れたり、欠けたりする状態を「爪甲縦裂症」といいます。爪甲縦裂症は、爪の乾燥や加齢などが原因で、爪が脆くなって発生します。爪甲縦裂症の治療は、基本的にステロイド含有外用薬が中心ですが、それでも改善しない場合は、爪の根元に腫瘍があるかもしれません。
爪に線が入る
爪に線が入っている場合、線の向きによって考えられる病気が異なります。爪に縦線ができる「爪甲縦条」は、健康な方でも起こりうるトラブルです。加齢や爪の乾燥、生活習慣の乱れなどが原因として考えられますが、病気ではないため過度に心配する必要はありません。
また、すべての爪に1本の横線が入っている場合、「ボー線条」の可能性があります。ボー線条は、亜鉛欠乏症や糖尿病、感染症、出産などが主な原因です。ボー線条を治すためには、原因となる不調の治療を行わなくてはなりません。なお、ボー線条ではなく外傷などによって横線が生じるケースもありますが、その場合は刺激を受けた指の爪のみに症状が表れます。
巻き爪・陥入爪
巻き爪とは、爪が変形して内側に曲がった状態です。また陥入爪は、爪の先が付近の皮膚に食い込んで、爪の周りに炎症を起こしている状態を指します。
巻き爪や陥入爪の原因としては、以下のようなものが挙げられます。
- 間違った爪切りをしている
- 足に合わない靴を履いている
- 不適切な靴の履き方をしている
- 歩く量が少ない
- 歩き方に問題がある
- 爪が乾燥している
- 扁平足、外反母趾などの影響
- 先天的な骨格の影響
巻き爪・陥入爪が軽度の場合は、以下のようなセルフケアで症状を和らげるのもひとつの手です。
- コットンパッキング法
- テーピング法
- 矯正グッズの使用
ただし、患部に痛みや腫れなどがある場合は、速やかに医療機関を受診しましょう。巻き爪・陥入爪の治療方法には、以下のようなものがあります。
- クリップを用いた矯正治療(クリップ法)
- ワイヤーを用いた矯正治療(ワイヤー法)
- プレートを用いた矯正治療
- ガター法
- 爪の部分切除
- 手術治療
二枚爪
二枚爪(爪甲層状分裂症)とは、爪が先端部分で2枚に分かれている状態のことです。二枚爪の原因としては、外部からの刺激や爪の乾燥などが考えられます。とくに乾燥しやすい冬の季節は、二枚爪になる方が多いです。二枚爪の対策としては、爪の保湿を徹底したり、トップコートを塗って爪を保護したりする方法が挙げられます。
爪がでこぼこになる
波を打つように爪の表面に横方向の溝ができている状態を、「波板状爪」といいます。爪母を覆う皮膚を他の指で押さえる癖がある方に多く、とくに手の親指で起こりやすいです。また鋭利なもので突いたようなでこぼこができている状態のことを、「点状陥凹」といいます。
点状陥凹は、円形脱毛症や乾癬に起因することもあります。波板状爪に対してはステロイド外用薬、点状陥凹に対しては外用薬や内服薬、紫外線療法で治療を行うことが多いです。
緑色爪(グリーンネイル)
緑色爪(グリーンネイル)とは、爪が緑色になっている状態のことです。深爪やネイルの放置などにより、爪の隙間で緑膿菌が繁殖することが原因として考えられます。
緑色爪が爪の表面のみで生じている場合は、ネイルを控えて爪をしっかり休ませるのが効果的です。しかし爪の深層まで菌が広がっている場合は、医療機関で治療を受ける必要があります。
なお、爪にかかわるトラブルについては、以下の記事でも詳しくご紹介しています。こちらもぜひ参考にしてみてください。
まとめ
今回は、爪の構造や役割、起こりやすい爪トラブルについてご紹介しました。爪は指を保護したり、力加減をコントロールしたりする重要な役割があります。トラブルを防いで健康的な爪を保つために、日頃からネイルケアを入念に行いましょう。
軽度の巻き爪に悩まれている方は、巻き爪矯正器具「ネイル・エイド」の使用がおすすめです。ネイル・エイドは矯正力に優れており、爪の変形を元に戻す効果が期待できます。着脱も簡単で扱いやすいので、ぜひ検討してみてください。
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【監修 埼玉医科大学 形成外科 簗由一郎医師】
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