陥入爪が痛いときの対処法・応急処置|トゲの取り方・テーピング法
目次
「爪を切ると毎回指が痛くなる」「爪が指に当たって酷いときは歩くのもつらい」という人は、陥入爪が原因で炎症が起きたり化膿したりしているかもしれません。
上記の症状が強く出ている場合は病院に行くのが一番ですが、仕事や学校でなかなか病院に行けないということもあるでしょう。
そこでこの記事では、陥入爪の痛みを改善できる応急処置の方法を紹介します。
専門医のワンポイントコメント
一般的に「巻き爪」と「陥入爪」という言葉は混同して使われている場合がありますが、「巻き爪」と「陥入爪」は別の状態を表します。 この記事ではわかりやすいように一部「陥入爪」を含めて「巻き爪」という言葉で表現している場合があります。違いについての詳細は解説記事を参照してください。
簗医師の解説記事:https://medical-media.jp/basic/#s5 |
陥入爪とは
陥入爪とは、爪の端が指に食い込んでしまう爪の状態のことです。
よく巻き爪と混同されることがありますが、陥入爪と巻き爪は爪の状態が異なります。
陥入爪についての知識を深めるために、下記の内容を紹介するので「陥入爪かもしれない」と悩んでいる人は参考にしてみてください。
陥入爪の原因
陥入爪の原因としてよく挙げられることは、爪の切り方が悪いことです。
しかし、実際は爪の切り方以外にも、複数の要因が絡み合い陥入爪の症状が引き起こされます。
陥入爪の主な原因として、下記の4つを紹介するので、自分に当てはまる項目はあるかチェックしてみてください。
- 歩き方
- 爪の切り方
- 合わない靴を履いている
- 歩く歩数が少なすぎる
歩き方
陥入爪の症状がある人は、爪が食い込んで痛いため、足の指を浮かせて歩く傾向にあります。
しかし、足指をしっかり使って歩かないと、巻き爪を悪化させることになり、結果として陥入爪の悪化の可能性があるため、注意しなくてはいけません。
陥入爪で痛くなるま前に、歩くときは、しっかり足の指を地面に付け、親指に重心をかけて歩きましょう。
爪の切り方
深爪をしてしまうと、軟部組織が盛り上がり、爪が伸びたときに食い込みが酷くなります。
また、爪の端が残った状態(爪棘)で放置すると、指に刺さって炎症を起こす可能性が高いです。
爪を切るときは、スクエア型やラウンドスクエア型になるように整えましょう。
合わない靴を履いている
小さい靴や足の形に合わない靴を履いていると、指先が圧迫されて、陥入爪の症状が強くでることがあります。
炎症や化膿を引き起こす可能性もあるでしょう。
靴選びをするときは、靴のサイズはもちろん、足の形に合った靴を選ぶようにしてください。
歩く歩数が少なすぎる
歩くことで爪に地面から圧力がかかり、爪が広がっていきます。
歩く機会が減ってしまうと、巻き爪が悪化し、結果として陥入爪のリスクが高まります。
「在宅勤務や外出を控えることが増えたことによって、日常的に歩く機会が減った」という人は、1日30分だけでもウォーキングの時間を設けましょう。
陥入爪で痛みが起きる理由
陥入爪の痛みの原因は、皮膚に爪が食い込むことで腫れたり熱を持ったり、傷ができたりすることです。
陥入爪によってできた傷を放置していると、細菌感染によって化膿することもあります。
腫れが強いと肉芽腫になることもあるので、悪化させないようにしましょう。
巻き爪と陥入爪の違い
巻き爪は爪の両端、もしくは片端が内側に巻いていく状態です。
一方陥入爪は、爪の端が指に刺さり、痛みや炎症を引き起こしている状態を指します。
巻き爪の人は陥入爪を併発していることがありますが、陥入爪だからといって巻き爪になっているとは限りません。
痛みが強いときに自分でできる応急措置
陥入爪の痛みに悩んでいる人の中には、「一時的なことだから、病院に行くのは気がひける」「忙しくて病院に行く暇がない」という人もいるでしょう。
そこで、陥入爪の痛みを自分で緩和できる方法を8つ解説します。
爪や指の症状に合わせて、複数の対処方法を組み合わせるのがおすすめです。
- トゲを取る
- テーピング
- コットンパッキング
- 絆創膏で保護する
- 指を冷やす
- 薬を塗る
- 靴をワンサイズ大きくする
トゲを取る
「爪を切るのに失敗し爪の端がトゲのように尖っている」「巻き爪で爪の横が切れなくてトゲのようになっている」という場合は、このトゲを取らなくてはいけません。
爪棘を自分で除去する場合、爪切り専用のニッパーを使用するのがおすすめです。
ただし、セルフケアをすると深爪になりやすいので注意しましょう。
テーピング
テーピングで爪と指の間に隙間を作ることで、痛みを緩和できます。
テーピングで痛みの緩和を目指す場合は、原因となる爪が皮膚を超えるまで継続しましょう。
テーピングを無理に剥がすとかぶれや皮膚を痛める原因になるので、水に濡らして粘着力を弱めてから、毛流れに逆らわないようにゆっくりと剥がしましょう。
【テーピングの貼り方】
指にテーピングを貼るときは、2.5cm×6cmのテーピングを使用します。
テーピングを引っ張る力が強すぎるとうっ血したり、圧迫によって痛みがでたりするので、強すぎず、弱すぎない最適な力加減を探しましょう。
基本的にテーピングは同じ強さで引っ張りながら貼りますが、貼り終わりはテープを押さえるように貼ることで、かぶれを予防できます。
- 爪が食い込んでいる皮膚のキワにテーピングの端をはり付ける
- 皮膚を下に引っ張るイメージで、指の腹に向かってテープを貼る
- テーピングを引っ張る強さは変えずに、斜め上に向かってテープを貼る
以下の記事でテーピングの方法について動画で解説しています。参考にしてください。
簗医師の解説記事 https://medical-media.jp/treatment/#s2
コットンパッキング
コットンを米粒程度に丸め、ピンセットで爪と指の間に入れ込むことで、痛みを緩和できます。
詰め込むコットンが大きすぎると、圧迫によって痛みが強くなることもあるので、痛みの感じ方に合わせてコットンの大きさを調節してください。
爪と指の間に詰めたコットンは、1日1回交換しましょう。
絆創膏で保護する
絆創膏で指の先を包むように貼り、痛みを緩和する方法もあります。
このとき、パッド部分は痛みのある指と爪の間に入るように調整しましょう。
この方法は、テーピングとコットンパッキング両方の効果を得られます。
指を冷やす
炎症が強く、患部が熱を持っている場合、保冷剤や氷嚢などで患部を冷やしましょう。
患部を冷やすことで熱感が落ち着き、痛みの軽減や炎症を早く落ち着けます。
長時間冷やし続けると凍傷のリスクが高くなるので、アイシングをする時間は10分~20分程度を目安にしてください。
薬を塗る
外用薬を塗ることも、痛みの緩和に役立ちます。
たとえば、化膿している場合は抗生物質、炎症が強い場合はステロイドというように、症状にあわせて薬を選びましょう。
陥入爪が原因の肉芽腫にも、ステロイドが有効です。
靴をワンサイズ大きくする
小さい靴を履いていると、圧迫によって痛みを強く感じます。
合わないサイズの靴を履いている人は、靴をワンサイズ大きくしましょう。
病院に行った方がいい陥入爪の症状
病院に行かなくては行けない症状をセルフケアし続けると、肉芽腫などの原因になります。
そのため陥入爪の人は、自分で症状の見極めるポイントを知っておくことも大切です。
下記3つのうち1つでも当てはまる場合は、皮膚科や形成外科、フットケア外来で治療を受けましょう。
- 炎症が強い
- 痛みが強い
- 化膿している
炎症が強い
炎症が強くでている場合は、放置していると肉芽腫になってしまいます。
肉芽腫ができると、最悪の場合外科的治療が必要になるので、速やかに病院で診察を受けましょう。
痛みが強い
痛みが強い場合は、陥入爪の治療が必要なサインです。
痛みを放っておくと、歩き方に癖が付いてしまい、陥入爪や巻き爪が悪化することもあります。
歩行困難や安静時痛があるという場合は、病院で治療を受けましょう。
化膿している
化膿は細菌感染しているサインです。
症状が強い場合は、内服の抗生物質を使用しなくてはいけません。
放っておくと長引いてしまうので、病院で治療を受けましょう。
陥入爪の治療方法
最後に、陥入爪の治療法方を紹介します。
陥入爪の治療は保存的治療と外科的治療にわかれていて、保存的治療であれば自宅でも行えるでしょう。
外科的治療を希望する場合は皮膚科や形成外科で診察・治療を受けてください。
保存的治療
保存的治療とは、症状の改善や緩和を目指す治療方法のことです。
一般的に陥入爪の治療法は、最初に保存的治療を実施されます。
外科的手術の必要がないので、症状が酷くない場合や、手術が怖いという人におすすめです。
- コットンパッキング
- テーピング
- 矯正
- 人工爪
コットンパッキング
応急処置として紹介したコットンパッキングは、陥入爪の治療としても行うことがあります。
治療としてコットンパッキングを行う場合は、つま先側と爪と皮膚のキワにコットンや脱脂綿を入れ込むのがおすすめです。
2か所にコットンを詰めることで、爪がしっかり持ち上がります。
テーピング
対処療法として紹介したテーピング法は、陥入爪の治療としても取り入れられています。
治療として行う場合は、2か月程度継続しなくてはいけません。
矯正
巻き爪が原因の陥入爪の場合、矯正器具で爪を矯正することで、陥入爪の改善が期待できます。
陥入爪の矯正方法は、病院で治療を受ける方法と、市販の矯正器具を使用して自分でケアする方法の2通りです。
それぞれの方法について、メリット・デメリットをくわしく解説するので、爪の矯正を検討している人はどちらの方法がいいか検討してみてください。
病院での矯正治療
皮膚科や形成外科、フットケア外来では、自由診療で爪の矯正治療が受けられます。
専門知識を持つ医師が矯正を行ってくれるので、安心して治療を受けられることが魅力です。
ただし、自費診療自体を取り扱っていない医療機関も多いので、病院での矯正治療を受けたい人は、事前に電話などで確認する必要があります。
市販の矯正器具
市販の矯正器具は、器具や爪に加工をしなくても使用できるため、専門的な知識は必要ありません。
しかし、定期的に新しい器具に付け替えなくてはいけなかたり、外れやすかったり、矯正力が弱いなどのデメリットがあります。
矯正力や強度に優れていて、取り扱いやすい矯正器具を探している人には、ネイルエイドがおすすめです。
人工爪
アクリル製の人工爪を取り付けると、爪の食い込みを防止しながら、陥入爪を改善できます。
人工爪は、医療機関で保険診療が受けられるので、矯正よりも安く治療を受けられることが魅力です。
ただし、重度陥入爪は、効果を実感できない可能性があります。
外科的治療
外科的治療は医療機関で受けられる治療方法で、外科的手術によって爪の症状を改善させます。
陥入爪に対して実施される治療方法は、主に以下の3つです。
- メスや剪刀(せんとう)で爪母や爪床を切除する方法
- フェノール法
- NaOH法
メスや剪刀(せんとう)で爪母や爪床を切除する方法
メスや剪刀(せんとう)で爪母や爪床を切除する方法は、爪母組織から爪を切除し、陥入爪を改善する治療です。
複数の術式があり、現在は鬼塚法や児島法が主流となっています。
手術時には麻酔を使用しますが、術後は2日~3日程度痛みがあるため、つま先の当たらない靴やサンダルを用意しておきましょう。
フェノール法
フェノール法は、問題となる爪を取り除き、腐食効果のあるフェノールを爪母に塗布して、爪が生えてこないようにする治療方法です。
保存両方では治療効果が見られない重度陥入爪にも効果があり、炎症が起きている状態でも治療できます。
ただし、末梢神経障害やコントロール不足の狭心症・高血圧症の人は治療を受けられません。
NaOH法
NaOH法は、問題となる爪を取り除き、水酸化ナトリウムでを爪母に塗布して、爪が生えてこないようにする治療方法です。
短時間で治療が終わるので、痛みや炎症を早く鎮めたい人に向いています。
しかし、実施している医療機関が少ないので、こだわりがなければフェノール法での治療も検討してみてください。
爪の応急処置を継続すると陥入爪改善の可能性も
今回爪の応急処置としてテーピング法やコットンパッキング、を紹介しましたが、これらの方法を長期間継続すると、爪が矯正されて陥入爪が改善する可能性があります。
しかし、テーピング法やコットンパッキングは、衛生面から1日1回取り換えなくてはいけません。
「毎日テーピングやコットンを取り換えるのは面倒だ」という人は、簡単に着脱できて矯正力も強い爪の矯正器具「ネイルエイド」を使用を検討してみてください。
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【監修 埼玉医科大学 形成外科 簗由一郎医師】