巻き爪を治すためには、病院での治療など適切な対処が必要です。しかし痛みが激しい場合は、治療までの間の応急処置として痛みを和らげる対策をしましょう。巻き爪に対する応急処置は、自宅にあるアイテムで簡単におこなえます。
今回の記事では、痛い巻き爪の応急処置の方法についてご紹介します。市販薬を服用してよいかどうかについても解説していますので、巻き爪の痛みにお悩みの方はぜひ参考にしてみてください
この記事の監修をお願いしている簗医師の、解説記事へのリンクを文中に掲載しています。より詳しく知りたい方は、簗医師の解説記事もご覧ください。
そもそも巻き爪とは
巻き爪とは、爪の端部分が内側へ巻き込んだ状態です。巻き爪は足の指で生じるケースが多いですが、まれに手の指で起こる場合もあります。
巻き爪の症状が悪化すると、巻いた部分が皮膚に刺さり、指先に痛みを感じる場合があります。また痛みをかばって歩き方が変わるので、腰や膝を痛めるリスクも高まるでしょう。
巻き爪が痛みを伴っている場合は、陥入爪になっている可能性もあります。陥入爪とは、爪が皮膚に刺さることで皮膚が炎症や痛みを引き起こしている状態です。巻き爪の悪化や陥入爪を防ぐために、速やかに対処しましょう。
- 巻き爪=爪甲が彎曲した状態
- 陥入爪=爪甲が側爪郭に陥入し炎症を引き起こした状態
簗医師の解説記事:https://medical-media.jp/basic/#s5
巻き爪が痛いときの応急処置
巻き爪が痛いと感じるとき、応急処置によって痛みを和らげられます。自分でできる応急処置についてご紹介します。
コットンパッキング
コットンパッキングとは、コットンやガーゼを使って皮膚を保護する方法で、応急処置のなかでも簡単なやり方です。
<準備するもの>
- コットンまたはガーゼ
<コットンパッキングの手順>
- コットンやガーゼを米粒くらいの大きさに丸める
- 痛いと感じる部分の皮膚と爪の間に挟みこむ
普段使っているコットンやガーゼで簡単に実践できる方法なので、痛みをすぐに和らげたい方は試してみてください。
テーピング法
テーピング法には、主に2つのやり方があります。
<準備するもの>
- ドラッグストアなどで購入できるテープ(2.5×6cmのサイズが望ましい)
<テーピングの手順その1>
- 爪がくい込んでいる皮膚の表面にテープを貼る
- 爪と皮膚のすき間を開ける方向に引っ張って固定する
テープの引っ張る力によって、皮膚と爪のすき間を広げて痛みを和らげる方法です。テープを貼る際に、力を緩めずにしっかりと引っ張るよう意識しましょう。
<テーピングの手順その2>
- テープで患部の周りの皮膚を包むように貼る
- テープの端が皮膚と爪の間に入り込むよう、ピンセットなどで押し込む
皮膚と爪の間にテープを食い込ませることで、痛みを和らげる方法です。爪の両側で痛いと感じる場合は、反対側も同じようにしてください。
以下のページで動画や写真を用いて詳しく解説しています。参考にして下さい
簗医師の解説記事:https://medical-media.jp/selfcare/#s2-2
絆創膏
テープが手元にない場合は、絆創膏を使って同じように応急処置するのもおすすめです。
<準備するもの>
- 絆創膏
<テーピングの手順>
- 絆創膏を指を包むように貼る
- コットン部分を爪と皮膚の間に挟みこむように押し入れる
基本的にはテーピング法と同じ手順で、痛みの応急処置が可能です。家にあるアイテムで痛みを緩和させたい場合は、ぜひ試してみましょう。
巻き爪により膿が出ているときの応急処置
炎症部分から膿が出ている場合は、以下の手順で応急処置をおこないましょう。
- ティッシュやコットンなどで患部をやさしく押さえ、余分な膿を吸い取る
- 水かぬるま湯で患部を洗い流す
- 清潔なタオルかガーゼで水分を拭き取る
- 清潔なガーゼを当て、患部に汚れがつかないよう保護する
応急処置の際、膿を無理に絞り出したり、強く押さえたりしないようにしましょう。無理にいじると、炎症が悪化したり痛みが強くなったりします。
また応急処置だけでは、炎症の根本的な解決にはなりません。膿が出た場合は放置せず、できるだけ早く病院を受診しましょう。
巻き爪が痛い場合、市販薬を飲んでも大丈夫?
巻き爪が痛みを伴う場合、一時的な対処法として痛み止めを服用するのも一つの手です。痛みを緩和させるためには、「イブプロフェン」や「ロキソプロフェンナトリウム」などが配合された市販薬を購入しましょう。
ただし市販の痛み止めの服用は、巻き爪の根本的な解決にはなりません。痛み止めによって痛みを和らげつつ、皮膚科やフットケア外来の受診を検討しましょう。
なお、化膿止めには抗生物質が含まれているため、化膿止めの内服薬は市販での扱いがありません。化膿止めの内服薬を手に入れるためには、病院を受診して医師により薬を処方される必要があります。
外用薬であれば抗生物質入りタイプも販売されているため、炎症や痛みを伴う陥入爪にお悩みの方は試してみるのもおすすめです。
巻き爪の応急処置をおこなった後の対処法
巻き爪は、ここまでご紹介した応急処置だけでは症状を根本から改善させることはできません。応急処置の後におこなうべき対処法についてご紹介します。
軽度の場合はセルフケアで様子を見る
巻き爪の状態が軽度である場合は、自宅でのセルフケアでしばらく様子を見るのもおすすめです。巻き爪に対するセルフケアの方法としては、以下のようなものが挙げられます。
- 矯正グッズを使う
- 正しい爪切りをおこなう
- 自分の足に合った靴を履く
- 歩く機会を増やす
- 歩き方を見直す
- 爪の保湿を習慣にする
- ネイルをしている場合は、改善するまでお休みする
とくにネイルをしている方は、ネイル剤の影響で爪が乾燥し、もろくなりやすいです。巻き爪が改善するまでは、ネイルを控えて爪を保湿するよう心がけましょう。
なお巻き爪に対するセルフケアの方法については、以下の記事でもくわしくご紹介しています。気になる方は、こちらもぜひご覧ください。
腫れている・化膿しているなど重度の場合は受診する
巻き爪の影響で、以下のような症状が出ている場合は病院を受診するのがおすすめです。
- 腫れている
- 化膿している
- 強い痛みがある など
病院における巻き爪の治療法には、以下のようなものがあります。
- クリップを用いた矯正治療(クリップ法)
- ワイヤーを用いた矯正治療(ワイヤー法)
- プレートを用いた矯正治療
- ガター法
- 爪の部分切除
- 手術治療
巻き爪がそこまでひどくない場合は、クリップによって爪を平らな状態に戻す方法を採用するケースが多いです。巻き爪の程度が重度であれば、金属製のワイヤーを使って爪を矯正します。
さらに痛みを伴うなど炎症がひどい場合は、ガター法を用いて爪と皮膚の間を保護する方法をとります。その他、食い込んでいる爪を部分的に切除し、痛みを改善させる方法もあります。
皮膚科やフットケア外来での治療で改善しない場合、より根治的な手術治療もあります。外科的な処置や手術を希望される方は、形成外科を受診してみましょう。
以下のページで、巻き爪や陥入爪の治療について 動画や写真を用いて詳しく解説しています。参考にして下さい
簗医師の解説記事:https://medical-media.jp/treatment/
まとめ
今回は、巻き爪が痛いと感じる場合の応急処置の方法についてご紹介しました。巻き爪による痛みは我慢せず、今回ご紹介した方法を参考に応急処置をおこないましょう。また応急処置だけでは症状の改善は期待できないため、早めにセルフケアや病院の受診など適切な対処を検討してください。
巻き爪を自宅で矯正したいと考えている方には、「ネイル・エイド」の使用をおすすめします。ネイルエイドは金属でできた巻き爪矯正器具で、家庭用としてだけでなく大学病院などでも採用されています。ネイルエイドは着脱簡単で初心者でも扱いやすいので、気になる方はぜひ以下のサイトからチェックしてみてください。
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【監修 埼玉医科大学 形成外科 簗由一郎医師】