「巻き爪の患部に肉芽ができた……」「肉芽を治すにはどうしたらよいの?」とお悩みの方もいるのではないでしょうか。肉芽ができてしまった場合、早急に治療を受けないとさらに症状が悪化する可能性があります。
そこで今回は、肉芽ができる原因や治療方法、放置するリスクなどについてご紹介します。巻き爪で肉芽ができたと思っている方や、対処法を知りたい方はぜひ参考にしてみてください。
一般的に「巻き爪」と「陥入爪」という言葉は混同して使われている場合がありますが「巻き爪」と「陥入爪」は別の状態を表します。
この記事ではわかりやすいように一部「陥入爪」を含めて「巻き爪」という言葉で表現している場合があります。違いについての詳細は解説記事を参照してください。
- 巻き爪=爪甲が彎曲した状態
- 陥入爪=爪甲が側爪郭に陥入し炎症を引き起こした状態
簗医師の解説記事:https://medical-media.jp/basic/#s5
巻き爪によりできる肉芽とは
肉芽とは、炎症を起こした赤く腫れあがった状態になることです。巻き爪が悪化して爪が皮膚に食い込むと、その部分に炎症が生じて肉芽ができることがあります。このように爪が食い込んだ部分に炎症が生じることを、陥入爪と呼びます。
巻き爪の患部に肉芽ができると、強い痛みが生じやすいです。肉芽の症状が見られた場合は、早急に病院を受診して治療をする必要があります。
巻き爪(陥入爪)になってしまう原因
巻き爪(陥入爪)になる原因としては、以下のようなものがあります。
- 間違った爪切りをしている
- 足に合わない靴を履いている
- 不適切な靴の履き方をしている
- 歩く量が少ない
- 歩き方に問題がある
- 爪が乾燥している
- 扁平足、外反母趾などの影響
- 先天的な骨格の影響
普段誤った爪の切り方や歩き方をしていると、巻き爪になるリスクが高くなります。また先天的な骨格や病気によっても、巻き爪が引き起こされる恐れがあるのです。原因を見極めた上で、適切な治療を施す必要があります。
巻き爪になる原因は大きく分けて、以下の3つです。
- 境的要因
- 遺伝的要因
- 病的要因
以下の記事でくわしく解説しているため、ぜひ参考にしてください。
巻き爪(陥入爪)による肉芽を放置するリスク
巻き爪(陥入爪)によって肉芽ができてしまった場合、医療的な治療を施さなければ自然治癒することはありません。肉芽を放置していると、肉芽の上から爪がさらに食い込み、症状がますます悪化する恐れがあります。
また肉芽ができた爪は強い痛みが生じやすいため、痛みをかばうために歩き方が不自然になり、腰や膝に負担をかける可能性もあります。このような事態を防ぐために、速やかに医療機関を受診しましょう。
巻き爪(陥入爪)による肉芽の治療方法
ここからは、巻き爪(陥入爪)による肉芽の主な治療方法についてご紹介します。なお、巻き爪(陥入爪)の治療は、皮膚科やフットケア外来、形成外科などで受けられます。
肉芽を改善する治療
肉芽を改善する治療としては、以下のようなものがあります。
- 内服薬・外用薬
- 液体窒素凍結
ここからは、それぞれの治療についてご紹介します。
内服薬・外用薬
肉芽をともなう陥入爪の治療としては、ステロイドの外用薬を塗って腫れや爪の食い込みを改善させる方法が一般的です。細菌が増殖している場合は、抗菌作用のある内服薬が処方されるケースもあります。
投薬期間は、目安として2週間ほどです。治療期間中は激しい運動や歩行を避け、爪への負担を減らすよう心がけましょう。また細菌の感染を防ぐため、患部をよく洗って清潔を保つことも重要です。
液体窒素凍結
肉芽の治療法として、液体窒素によって患部を凍結させる方法もあります。液体窒素凍結では、-196℃の超低温で患部を凍結させ、組織を壊死させる方法です。処置を施してからおよそ1週間ほどで病変部が剥がれ、新しい組織に置き換わることが期待できます。
爪が皮膚に食い込むのを防ぐ治療【軽度の場合】
爪の食い込みを改善させるためには、以下のような治療法が行われます。
テーピング
爪の食い込みが軽度な場合、テーピングを行うケースがあります。テーピングとは、テープで皮膚を引っ張ることによって、爪と皮膚の隙間を広げて痛みを和らげる方法です。ドラッグストアで購入できるテープや絆創膏を使えば、巻き爪のセルフケアとしても行えます。
コットンパッキング
コットンパッキングは、ガーゼやコットンを爪と皮膚の隙間に挟み込み、食い込んだ部分の皮膚を保護する治療法です。こちらも食い込みが軽度な場合に行われる方法であり、自宅でのセルフケアとしても広く実践されています。
爪が皮膚に食い込むのを防ぐ治療【重度の場合】
ここからは、食い込みが重度の場合に行われる治療法についてご紹介します。
ガター法
ガター法は、皮膚と爪の隙間に専用のチューブを差し込み、食い込んだ爪から皮膚を保護する治療法です。短く切りすぎた深爪に対して行われることが多く、チューブがあることで爪を正常な方向に伸ばすことが期待されています。
チューブを取り付けるときには痛みを感じやすいので、局所麻酔をするのが基本です。そのため、ガター法は決して自分では行わず、医療機関で受けてください。
爪の部分切除
爪の食い込みを改善させる方法として、爪の部分切除も挙げられます。爪の食い込んだ部分のみを取り除く方法で、薄い爪などにおすすめです。しかし爪の変形が進行しすぎている場合は、部分切除だけでは対応しきれないケースもあります。爪の部分切除が適しているかどうかは、担当する医師とよく相談してから判断しましょう。
フェノール法・NaOH法
巻き爪の症状が重度の場合は、根治的な治療である手術を行うこともあります。手術治療では、フェノール法かNaOH(水酸化ナトリウム)法を行うことが多いです。
フェノール法とは、爪を作る組織である爪母をフェノール剤で処理し、爪が部分的に生えてこないようにする治療法を指します。またNaOH法とは、食い込んだ部分の爪を切除したあとに、NaOHという薬品を爪母組織に施して処理する治療法のことです。
巻き爪(陥入爪)を改善する治療
ここからは、巻き爪(陥入爪)を治療する方法についてご紹介します。
矯正
巻き爪(陥入爪)が軽度の場合、以下のような矯正治療を行う医療機関が多いです。
- クリップを用いた矯正治療(クリップ法)
- プレートを用いた矯正治療
- ワイヤーを用いた矯正治療(ワイヤー法)
上記のようにクリップやプレート、ワイヤーを使用して、変形した爪を正常な形に戻していきます。
アクリル人工爪
短くカットしすぎた深爪に対しては、切りすぎた角にアクリル人工爪を取り付ける方法もあります。深爪になる前の長さになるように爪を継ぎ足すことによって、巻き爪や陥入爪の悪化防止が期待できます。
巻き爪(陥入爪)を改善する治療は、簡単なセルフケア、ワイヤーなどの器具を用いた矯正治療から各種外科的治療(手術)まで多岐にわたります。
巻き爪の各治療法については、以下のページでも詳しく解説しています。
簗医師の解説記事:https://medical-media.jp/treatment/
巻き爪(陥入爪)による肉芽は自分で治せる?
巻き爪(陥入爪)によって肉芽ができてしまった場合、セルフケアで治すのはおすすめできません。無理やり患部を触って肉芽を除去しようとすると、細菌が入り込んで症状がさらに悪化する恐れがあります。
したがって肉芽ができた場合は、速やかに医療機関を受診しましょう。病院を受診するまでの応急処置として、市販の外用薬を塗るのはおすすめです。痛みや炎症を和らげるためには、抗生物質が含まれた外用薬を探してみてください。
巻き爪(陥入爪)による肉芽を予防する方法
巻き爪(陥入爪)による肉芽を予防する方法としては、以下のようなものが挙げられます。
- 正しい爪切りをする
- 自分の足に合った靴を、正しく履く
- 日常で歩くことを心がける
- 歩き方にも気を付ける
- 爪を清潔に保ち、保湿する
- ネイルをしている場合は、改善するまでお休みする
- 扁平足・外反母趾を治療する
肉芽ができないようにするためには、入浴時に爪をしっかり洗浄して汚れを落とし、清潔に保つことが重要です。爪を洗浄したあとは乾燥しやすくなっているので、保湿ケアをするのも忘れないでください。
巻き爪の予防については以下の記事でくわしく解説していますので、チェックしてみてください。
爪が皮膚に食い込んでいることが、肉芽ができる原因です。保存治療や矯正治療で肉芽が改善しない場合は、食い込んだ爪をカットすることで肉芽を改善できます。
肉芽がひどい場合は、局所麻酔の処置が必要となります。なかなか治らない肉芽は「形成外科」などの外科的処置を得意としている診療科に相談するのがよいと思います。
病院の探し方については、以下を参考にして下さい。
簗医師の解説記事:https://medical-media.jp/column/when-it-becomes-an-ingrown-nail/
まとめ
今回は、巻き爪(陥入爪)によって肉芽ができる原因や予防方法、治療法などについてご紹介しました。肉芽を放置していると、さらに炎症や痛みが悪化する恐れがあるため、できるだけ早く病院を受診しましょう。
なお、まだ肉芽ができておらず、巻き爪が軽度である場合は、巻き爪矯正器具である「ネイル・エイド」を使用したセルフケアもおすすめです。ネイル・エイドは矯正力と耐久性に優れているため、変形の進んだ爪に対しても使用できます。初心者の方でも簡単に着脱できる仕様となっているのも強みです。
巻き爪を悪化させて肉芽を発生させないためにも、ぜひネイル・エイドの使用を検討してみてください。
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【監修 埼玉医科大学 形成外科 簗由一郎医師】